最終更新: 2026-06-26
福島県は全国新酒鑑評会の都道府県別金賞受賞数で2年連続日本一を達成しています(2026年5月発表、20銘柄)。そんな「日本酒王国」福島の中でも、日本酒ファンの間でじわじわと支持を広げている銘柄が「ロ万(ろまん)」です。「名前は見かけるけれど、種類が多くてどれを選べばいいかわからない」「花泉酒造ってどんな蔵なの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、ロ万の誕生背景から全シリーズの味わいの違い、季節ごとの楽しみ方、おすすめのペアリングまで、蔵人の視点で徹底的に解説します。まずはロ万の基本情報を押さえたうえで、シリーズ比較、季節別ガイド、飲み方の順にお伝えしていきます。
ロ万(ろまん)とは?花泉酒造が醸す南会津の銘酒
ロ万は、福島県南会津郡南会津町にある花泉酒造が醸す日本酒です。大正9年(1920年)の創業から100年以上の歴史を持ち、豪雪地帯の厳しい自然環境のもとで酒造りを続けてきた蔵元です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄名 | ロ万(ろまん) |
| 蔵元 | 花泉酒造株式会社 |
| 所在地 | 福島県南会津郡南会津町 |
| 創業 | 大正9年(1920年) |
| 代表銘柄 | ロ万、花泉 |
| 仕込み水 | 南会津の伏流水(軟水) |
| 特徴 | 全銘柄もち米四段仕込み |
創業の背景:豪雪地帯から生まれた酒造りへの想い
花泉酒造が誕生したきっかけは、南会津の厳しい冬にあります。冬になると2メートル近い雪が降り積もるこの地域では、かつて峠が閉ざされ、お酒の流通がほぼ途絶えていました。「お酒がないなら自分たちで造ろう」という地元の人々の想いが結実し、花泉酒造は創業しました。
現在も蔵の周囲には豊かな自然が広がり、酒造りに欠かせない清冽な伏流水と澄んだ空気が、ロ万の繊細な味わいを支えています。
「ロ万」という名前の由来
ロ万というユニークな名前には、二つの由来があります。一つは、蔵人たちが口癖のように「酒造りはロマンだ」と語っていたこと。もう一つは、仕込み用に振り分けていた「一号」の文字を分解すると「一ロ万(ひとろまん)」と読めたことです。酒造りへのロマンと、現場ならではの遊び心が融合して生まれた銘柄名は、ロ万の柔らかく親しみやすい味わいそのものを象徴しています。
もち米四段仕込みとは?ロ万を支える醸造技術
ロ万の味わいを語るうえで欠かせないのが「もち米四段仕込み」という醸造技術です。通常の日本酒は「三段仕込み」で造られますが、花泉酒造ではさらにひと手間を加え、蒸したもち米を四段目として仕込みます。
三段仕込みとの違い
一般的な日本酒の三段仕込みでは、水・麹・蒸米を3回に分けて酒母(もろみ)に加えていきます。花泉酒造のもち米四段仕込みでは、この三段仕込みが完了した後に、蒸したもち米をさらに加えます。もち米に含まれるデンプンがゆっくりと糖化されることで、すっきりとした飲み口でありながら、ふくよかな甘みと柔らかなコクが生まれます。
全銘柄でもち米四段仕込みを行っている酒蔵は、花泉酒造のみと言われています(2026年時点)。蔵人たちが代々受け継いできた伝承の技法に、年々独自の改良を加えながら進化を続けている点が、ロ万ならではの味わいにつながっています。
こだわりの原料:会津産米と福島県開発酵母
ロ万のもう一つの特徴は、原料へのこだわりです。使用する米はすべて会津・南会津産に限定しています。
| 原料 | 詳細 |
|---|---|
| 酒造好適米 | 夢の香(福島県オリジナル品種) |
| 酒造好適米 | 福乃香(福島県オリジナル品種) |
| 掛米 | 五百万石(会津産) |
| 酵母 | うつくしま夢酵母(福島県開発) |
| 仕込み水 | 南会津の軟水(伏流水) |
酒米の種類と特徴の記事でも詳しく解説していますが、夢の香は福島県が独自に開発した酒造好適米で、心白が大きく溶けやすいため、やわらかな味わいの酒に仕上がります。福乃香はさらに新しい品種で、フルーティーな香りを引き出しやすい特性を持っています。
酵母にも福島県で開発された「うつくしま夢酵母」を採用しており、米・水・酵母のすべてが福島の風土から生まれたものです。この「オール福島」の酒造りが、ロ万のテロワール(産地の個性)を際立たせています。
ロ万シリーズ全種比較:味わいの違いを蔵人視点で解説
ロ万シリーズの大きな魅力は、季節ごとに異なる表情を見せるラインナップの豊かさです。通年で販売される定番酒から、その時期にしか出会えない季節限定品まで、主要なシリーズを一覧で比較します。
| シリーズ名 | 読み方 | 分類 | 販売時期 | 味わいの特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ロ万 純米吟醸 | ろまん | 純米吟醸 一回火入れ | 通年 | メロンのような甘味とヨーグルトのような酸味。バランス型 |
| かすみロ万 | かすみろまん | 純米吟醸 うすにごり生原酒 | 1〜2月頃 | 微発泡のしゅわしゅわ感。やさしい甘みと生酒のフレッシュさ |
| 花見ロ万 | はなみろまん | 純米吟醸 | 3〜4月頃 | アルコール13度。軽やかで華やか。花見の席にぴったり |
| 皐ロ万 | さつきろまん | 純米大吟醸 | 5月頃 | 上品な吟醸香と繊細な味わい。透明感のある仕上がり |
| 七ロ万 | ななろまん | 純米吟醸 | 6〜7月頃 | 夏酒。低アルコール。バナナ系の穏やかな香りと軽快な飲み口 |
| 十ロ万 | とろまん | 純米吟醸 一回火入れ | 9〜10月頃 | 秋の限定品。芳醇でまろやか。燗でも冷やでも楽しめる |
| しもふりロ万 | しもふりろまん | 純米吟醸 うすにごり | 11月頃 | 新酒のフレッシュさとにごりの柔らかさが共存 |
| 一ロ万 | ひとろまん | 純米大吟醸 生原酒 | 不定期 | シリーズ最高峰。品のよい吟醸香と透明感、ジューシーな旨み |
| ロ万 純米大吟醸 福乃香50 | ろまん ふくのか | 純米大吟醸 | 不定期 | 福乃香を50%まで磨いた贅沢な一本。フルーティーで上品 |
定番「ロ万 純米吟醸」の味わい
シリーズの原点であり、唯一の通年商品がロ万 純米吟醸です。グラスに注ぐと穏やかなメロン系の香りが立ち上り、口に含むとやわらかな甘味が広がります。後味にはヨーグルトを思わせるさわやかな酸味が感じられ、食中酒としての万能さを持っています。
フルーティーな日本酒が好きな方にとっては、まず試していただきたい一本です。華やかすぎず、かといって地味でもない、絶妙なバランスがロ万の真骨頂といえるでしょう。
最高峰「一ロ万」の世界
一ロ万(ひとろまん)は、ロ万シリーズの頂点に位置する純米大吟醸の生原酒です。派手さのない品のよい吟醸香、高い精米歩合がもたらす透明感、そしてもち米四段仕込みならではのジューシーな旨みが柔らかく広がります。入手が難しい銘柄ですが、見かけた際にはぜひ手に取っていただきたい逸品です。
夏に飲みたい「七ロ万」
七ロ万(ななろまん)は、暑い季節に合わせて設計された夏酒です。アルコール度数を低めに抑え、穏やかなバナナ系の風味に透明感のある味わいが特徴です。キリッと冷やしてワイングラスで楽しむと、爽やかさが際立ちます。夏酒のおすすめを探している方には、ぜひ候補に加えていただきたい銘柄です。
季節で選ぶロ万:四季の楽しみ方ガイド
ロ万シリーズの大きな魅力は、日本の四季に寄り添うように設計されたラインナップです。季節ごとにどのロ万を選べばよいか、おすすめの温度帯と合わせてまとめました。
| 季節 | おすすめシリーズ | 推奨温度帯 | シーン |
|---|---|---|---|
| 春(3〜4月) | 花見ロ万 | 冷酒(8〜10℃) | 花見、歓送迎会 |
| 初夏(5月) | 皐ロ万 | 冷酒(10〜12℃) | 端午の節句、母の日 |
| 夏(6〜8月) | 七ロ万 | よく冷やす(5〜8℃) | 暑気払い、BBQ |
| 秋(9〜10月) | 十ロ万 | 冷やまたはぬる燗(15〜42℃) | 秋の味覚との合わせ |
| 初冬(11月) | しもふりロ万 | 冷酒(8〜10℃) | 新酒の季節を楽しむ |
| 冬(12〜2月) | かすみロ万 / ロ万 純米吟醸 | 冷酒またはぬる燗 | 年末年始、鍋料理 |
| 通年 | ロ万 純米吟醸 | 冷酒〜ぬる燗(8〜42℃) | 日常の晩酌、贈答 |
蔵を訪ねた経験のある酒販店の方に話を聞くと、「花泉酒造の蔵人たちは、季節の巡りと酒造りを切り離せないものとして捉えている」と語ってくれました。南会津の四季がはっきりした気候が、こうした季節感あふれるラインナップに反映されているのです。
たとえば今の時期(6月)であれば、七ロ万がちょうど出回り始めるタイミングです。6月に旬を迎えるあゆやすずきの塩焼きと合わせると、七ロ万の軽快な味わいが魚の淡白な旨みを引き立ててくれます。
ロ万のおすすめの飲み方とペアリング
ロ万の味わいを最大限に引き出すための飲み方と、相性のよい料理を紹介します。
温度帯別の味わいの変化
ロ万 純米吟醸を例にとると、温度帯によって表情が大きく変わります。
| 温度帯 | 呼び方 | ロ万での味わい |
|---|---|---|
| 5〜8℃ | 雪冷え〜花冷え | メロン系の香りが際立つ。シャープな酸味 |
| 10〜15℃ | 涼冷え〜常温 | 甘味と酸味のバランスが最も取れる。食中酒として最適 |
| 35〜40℃ | 人肌燗〜ぬる燗 | もち米由来のふくよかさが前面に。旨みが広がる |
| 42〜45℃ | 上燗 | 丸みのある味わいに変化。冬の鍋料理に好相性 |
食材別ペアリングガイド
ロ万のやわらかな甘味と穏やかな酸味は、幅広い料理と調和します。
| 料理ジャンル | おすすめの組み合わせ | 相性のよいロ万 |
|---|---|---|
| 和食(淡白) | あゆの塩焼き、刺身、冷奴 | 七ロ万、ロ万 純米吟醸(冷酒) |
| 和食(濃厚) | 肉じゃが、筑前煮、西京焼き | ロ万 純米吟醸(ぬる燗)、十ロ万 |
| 洋食 | クリームパスタ、チーズ、前菜盛り合わせ | 一ロ万、皐ロ万 |
| 中華 | 海老のチリソース、点心 | ロ万 純米吟醸(常温〜ぬる燗) |
| デザート | フルーツタルト、レアチーズケーキ | かすみロ万 |
もち米四段仕込み由来のまろやかな甘みは、クリーム系やチーズ系の洋食とも相性が抜群です。日本酒はペアリングの幅が広い酒類ですが、ロ万はその中でも特に懐が深い銘柄といえます。
購入時の注意点
ロ万は生酒や生原酒のシリーズが多いため、保存には注意が必要です。購入後は必ず冷蔵庫で保管し、開封後はなるべく早めに飲みきることをおすすめします。特にかすみロ万は微発泡タイプのため、開栓時にゆっくりキャップを回して炭酸ガスを逃がしてください。
また、ロ万は特約店限定流通の銘柄です。スーパーやコンビニでは取り扱いがないため、花泉酒造の公式サイトに掲載されている正規特約店での購入をおすすめします。
ロ万に関するよくある質問
Q1: ロ万と花泉の違いは何ですか?
ロ万と花泉はどちらも花泉酒造が醸す日本酒ですが、ブランドとしてのコンセプトが異なります。花泉は創業以来の定番銘柄で、地元の日常酒として親しまれてきました。一方、ロ万は特約店限定流通の銘柄として、より洗練された味わいを追求しています。どちらも「もち米四段仕込み」で造られている点は共通です。
Q2: ロ万はどこで買えますか?
ロ万は特約店限定流通のため、一般的なスーパーやコンビニでは購入できません。花泉酒造の公式サイト(hanaizumi.ne.jp)に正規特約店の一覧が掲載されています。オンラインショップを運営している特約店もあるため、近くに取扱店がない場合は通販を利用するのが便利です。ただし、転売品や長期保存品には注意が必要です。
Q3: ロ万の価格帯はどのくらいですか?
ロ万 純米吟醸(720ml)は1,800〜2,000円前後が目安です(2026年時点、税込、特約店による)。一ロ万やロ万 純米大吟醸 福乃香50などの上位グレードは3,000〜5,000円前後になります。花見ロ万や七ロ万などの季節限定品は、定番の純米吟醸と同程度の価格帯で手に取りやすい設定になっています。
Q4: ロ万は燗酒にしてもおいしいですか?
はい、ロ万 純米吟醸や十ロ万は燗酒にしても楽しめます。特にぬる燗(35〜40℃)にすると、もち米四段仕込み由来のふくよかな甘味が前面に出て、冷酒とはまた違った魅力を感じられます。ただし、かすみロ万や七ロ万などの生酒・低アルコール系は冷酒で飲むことを想定して設計されているため、燗には向きません。
Q5: ロ万のおすすめの保存方法は?
ロ万シリーズの多くは生酒や一回火入れのため、冷蔵保存が基本です。特に要冷蔵の表示がある商品は、購入後すぐに冷蔵庫に入れてください。適切に冷蔵保存していれば、未開封で2〜3か月程度はおいしく楽しめます。開封後は酸化が進むため、1週間以内を目安に飲みきることをおすすめします。
Q6: 初めてロ万を飲むなら、どのシリーズがおすすめですか?
初めての方には、通年販売されている「ロ万 純米吟醸(一回火入れ)」をおすすめします。ロ万シリーズの特徴であるメロン系の香りとやわらかな甘味、もち米由来のコクをバランスよく体感できます。そのうえで気に入ったら、季節限定のシリーズに手を伸ばしてみてください。夏なら七ロ万、秋なら十ロ万が入門にぴったりです。
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まとめ:ロ万の魅力と選び方のポイント
- ロ万は福島県南会津の花泉酒造が醸す日本酒で、大正9年(1920年)創業の歴史ある蔵元が手がけている
- 全銘柄で「もち米四段仕込み」を採用しており、やわらかな甘味とふくよかなコクが最大の特徴
- 使用する米・酵母はすべて福島県産。「オール福島」のテロワールが味わいに反映されている
- 季節ごとに異なる限定シリーズがあり、四季を通じてさまざまな表情を楽しめる
- 初めての方は通年の「ロ万 純米吟醸」から試すのがおすすめ
ロ万の魅力は、一杯の中に南会津の自然と蔵人たちのロマンが凝縮されているところにあります。まずは定番の純米吟醸から始めて、季節ごとの限定品を追いかけてみてはいかがでしょうか。
福島の日本酒ランキングではロ万以外の福島の銘酒も紹介していますので、あわせてご覧ください。
参考情報
- 花泉酒造株式会社 公式サイト(https://hanaizumi.ne.jp/)
- SAKETIMES「もち米四段仕込みを行う花泉酒造が創業百周年」(https://jp.sake-times.com/special/press/p_hanaizumi100th)
- 国税庁「清酒製造業の概況」(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seishu/02.htm)
- 福島県「全国新酒鑑評会 金賞受賞数日本一」(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/32031c/20250521sake.html)
- SAKETIME ロ万 評価・通販ページ(https://www.saketime.jp/brands/2253/)


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