最終更新: 2026-09-17
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門とは、イギリスのIWC Events Ltdが主催する世界最大級のワインコンペティション「IWC」の中に、2007年に新設された日本酒専門の審査部門です。市販されている日本酒を対象に、Master of WineやMaster Sommelierを含む国際的な専門家がブラインドテイスティングで審査します。2026年は1,738点の出品から59点がトロフィーを受賞し、最高賞「チャンピオン・サケ」には山口県・長州酒造の「天美 純米吟醸 蛍天」が選ばれました。2026年10月17日には東京・日本橋で受賞酒を試飲できるイベントも開催されます。本記事では運営の仕組みから、国内で最も有名な「全国新酒鑑評会」との違い、2026年の結果、蔵人・日本酒愛好家にとっての活用法までを一次情報に基づいて整理します。
IWC SAKE部門とは?基本的な仕組み

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | International Wine Challenge SAKE部門 |
| 運営団体 | IWC Events Ltd(イギリス) |
| SAKE部門の発足年 | 2007年(IWC自体は1984年発足のワインコンペティション) |
| 審査の開催地 | 2026年は広島県で審査会を実施(2026年5月18日〜21日) |
| 授賞式・結果発表 | ロンドンで実施。2026年のチャンピオン・サケ発表は2026年9月8日(現地時間) |
| 対象 | 市販されている日本酒全般(新酒に限らず、純米酒・本醸造・スパークリングなど幅広いカテゴリー) |
| 審査方式 | 全出品酒をブラインドテイスティングで審査し、金メダル受賞酒はさらに上級国際審査員パネルが再審査する2段階制 |
IWCはもともとワインの品評会として1984年に始まり、2007年にSAKE部門が新設されました。日本酒造組合中央会青年協議会を母体とする「酒サムライ協会」との連携のもとで運営されており、日本国内での審査会運営と、ロンドンでの授賞式・海外向け情報発信を組み合わせている点が特徴です。
審査体制とカテゴリー構成

IWC公式サイトによると、2026年のSAKE部門はKen Ohashi MW、Simon Hofstra、Ake Nordgren、Natsuki Kikuya、Jennifer Docherty MWの5名が共同議長を務め、審査パネルにはMaster of Wine、Master Sommelier、バイヤー、醸造家などの専門家が名を連ねています。審査はすべてブラインド(銘柄・蔵元・価格を伏せた状態)で行われ、金メダルを獲得した出品酒はさらに上級の国際審査員パネルによって再審査されます。
2026年のカテゴリーは、従来の「普通酒」「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」「スパークリング」「古酒」「熟成」の10カテゴリーに、新たに「フレイバー・サケ」が加わり、合計11カテゴリーとなりました。
| 評価段階 | 内容 |
|---|---|
| メダル | 金メダル・銀メダル・銅メダル・大会推奨酒の4段階 |
| トロフィー | 各カテゴリーの金メダル受賞酒の中から、特に優れた1点に授与 |
| チャンピオン・サケ | 全カテゴリーのトロフィー受賞酒の中から選ばれる、SAKE部門の最高賞 |
全国新酒鑑評会との違い

日本国内には全国新酒鑑評会という、1911年から続く歴史ある鑑評会がすでに存在します。IWC SAKE部門とは目的も審査対象も異なるため、混同しないよう整理しておきましょう。
| 項目 | 全国新酒鑑評会 | IWC SAKE部門 |
|---|---|---|
| 主催 | 独立行政法人酒類総合研究所・日本酒造組合中央会 | IWC Events Ltd(酒サムライ協会と連携) |
| 発足年 | 1911年 | 2007年 |
| 出品対象 | 当年度に醸造した吟醸酒の原酒のみ(1製造場1点) | 市販されている日本酒全般、点数・銘柄数の制限は出品規定に基づく |
| 審査員 | 国内の醸造技術者・鑑定官 | Master of Wine・Master Sommelier・バイヤーなど海外中心の国際審査員 |
| 主な目的 | その年の醸造技術水準の把握と業界全体の技術向上 | 海外市場における日本酒の評価・プロモーション |
| 評価の区分 | 入賞・金賞の2段階 | 金銀銅メダル+大会推奨酒、トロフィー、チャンピオン・サケ |
もっとも大きな違いは「誰の視点で、何を評価するか」です。全国新酒鑑評会は国内の醸造技術者が審査し、その年の技術力そのものを測る競技会に近い性格を持ちます。一方でIWC SAKE部門は、海外のワイン専門家やソムリエ、バイヤーが商品としての日本酒を評価する仕組みであり、輸出先での販路開拓やブランディングに直結しやすい賞といえます。どちらが優れているというものではなく、「国内での技術評価」と「海外市場での商品評価」という異なる物差しだと理解しておくと、受賞歴を見たときに実態を見誤りません。
2026年の結果ハイライト

2026年のIWC SAKE部門には1,738点が出品され、このうち59点がトロフィーを受賞しました。全カテゴリーのトロフィー受賞酒の中から選ばれる最高賞「チャンピオン・サケ」には、山口県下関市の長州酒造株式会社が手がける「天美 純米吟醸 蛍天」が選出されています。蛍天は2025年5月に「天美」の季節限定商品として発売されたばかりの銘柄で、発売から1年余りでの世界最高賞受賞という点でも注目を集めました。
なお、前年(2025年)のチャンピオン・サケは山梨県の山梨銘醸が手がける「七賢 純米大吟醸 白心」でした。年によって受賞蔵の顔ぶれが大きく入れ替わる点も、この賞の特徴のひとつです。
| 項目 | 2026年の結果 |
|---|---|
| 出品点数 | 1,738点 |
| カテゴリー数 | 11(新設のフレイバー・サケを含む) |
| トロフィー受賞数 | 59点 |
| チャンピオン・サケ | 天美 純米吟醸 蛍天(長州酒造株式会社、山口県) |
| チャンピオン・サケ発表日 | 2026年9月8日(現地時間、日本時間9日) |
「IWC2026受賞プレミアム日本酒試飲会」の開催情報
2026年10月17日には、IWC2026のトロフィー受賞酒を中心に試飲できるイベント「IWC2026受賞プレミアム日本酒試飲会」が東京・日本橋で開催されます。主催は野村不動産株式会社で、ロンドンでの授賞式の雰囲気を日本国内で再現する企画も予定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年10月17日(土) |
| 時間 | 第一部 12:45〜15:30(トークセッション&試飲)/第二部 16:30〜18:00(試飲) |
| 会場 | YUITO日本橋室町野村ビル 6階ホール(東京都中央区日本橋室町2-4-3) |
| 内容 | トロフィー受賞酒を含む約30銘柄の飲み比べ、日本酒トークセッション、ロンドン授賞式の再現企画 |
| 参加費 | 4,800円(税込) |
| 申し込み | Makuake特設ページ(イベント詳細はプレスリリースを参照) |
一度に約30銘柄ものトロフィー受賞酒を飲み比べられる機会は多くありません。国内で流通量が限られる受賞蔵の酒を実際に確かめてみたい方には貴重な機会です。参加を検討する場合は、必ず主催者の最新告知で日程・定員・申し込み方法を確認してください。
蔵人・日本酒愛好家にとっての意味
キャリア面での意味
IWC SAKE部門での受賞は、蔵の海外営業力を測る指標にもなります。日本酒の海外人気でも触れているとおり、IWCでの受賞をきっかけに海外での流通量が拡大した蔵の事例が知られており、日本酒の輸出統計が示すとおり日本酒の輸出は10年で約4倍に成長しています。こうした蔵で働く蔵人にとって、国際コンペへの出品に携わった経験は、杜氏や海外営業担当としてのキャリアを考えるうえでの実績になり得ます。輸出戦略に力を入れる蔵は増えており、語学力と醸造知識の両方を持つ人材への需要も今後高まっていくと考えられます。
購入・選定の目安としての意味
一般の読者にとっては、IWC受賞の有無を「海外のプロが評価した日本酒」という目安として使えます。ただし前述のとおり、全国新酒鑑評会の金賞とは評価の物差しが異なります。国内の技術評価を重視するなら全国新酒鑑評会、海外での評価やインバウンド・輸出向けの話題性を重視するならIWCというように、目的に応じて参考にする賞を使い分けるとよいでしょう。
IWC SAKE部門に関するよくある質問
Q1: IWC SAKE部門の受賞酒はどこで購入できますか?
受賞酒の多くは蔵元の定番ラインナップとして流通していますが、季節限定・数量限定の銘柄は入手が難しい場合があります。2026年のチャンピオン・サケ「天美 純米吟醸 蛍天」も季節限定商品のため、購入を希望する場合は蔵元の公式サイトや特約店の在庫情報を確認するのが確実です。
Q2: IWC2026の結果はいつ発表されましたか?
トロフィー受賞酒は2026年5月22日に発表され、最高賞のチャンピオン・サケは2026年9月8日(現地時間、日本時間では9日)にロンドンでの授賞式にあわせて発表されました。
Q3: IWC SAKE部門と全国新酒鑑評会、日本酒選びではどちらを参考にすべきですか?
目的によって使い分けるのがおすすめです。全国新酒鑑評会は国内の醸造技術者が審査する技術力の指標であり、IWC SAKE部門は海外のワイン専門家やソムリエが商品として評価する国際的な指標です。技術の高さを重視するなら全国新酒鑑評会の金賞、海外での評価や食中酒としての国際的な支持を重視するならIWCの受賞歴を目安にするとよいでしょう。
Q4: IWC SAKE部門はいつから始まりましたか?
IWC自体は1984年に発足したワインコンペティションで、SAKE部門はそこから約20年後の2007年に新設されました。日本酒造組合中央会青年協議会を母体とする酒サムライ協会との連携のもとで運営されています。
まとめ:IWC SAKE部門のポイント
- IWC SAKE部門はイギリスのIWC Events Ltdが主催する国際コンペで、2007年に新設された
- 審査はMaster of WineやMaster Sommelierを含む国際審査員によるブラインドテイスティングで、金メダル受賞酒はさらに上級パネルが再審査する
- 全国新酒鑑評会が国内の技術力を測る鑑評会であるのに対し、IWCは海外市場での商品評価に近い性格を持つ
- 2026年は1,738点が出品され、59点がトロフィーを受賞。最高賞チャンピオン・サケは山口県・長州酒造の「天美 純米吟醸 蛍天」
- 2026年10月17日には東京・日本橋でトロフィー受賞酒を試飲できるイベントが開催される
IWC SAKE部門の受賞歴は、蔵の海外での評価や輸出戦略を知る手がかりになります。まずは気になった受賞銘柄を実際に飲んでみて、全国新酒鑑評会の金賞酒と飲み比べてみるのもおすすめです。国内評価と国際評価、それぞれの「金賞」がどう違うのかを体感できるはずです。
この記事は蔵人編集部が執筆しました。蔵人 -KURABITO-は醸造キャリアと日本酒文化に特化した専門メディアです。
参考情報
- International Wine Challenge公式サイト「Sake Competition」(https://www.internationalwinechallenge.com/competition/sake)確認日: 2026-09-17
- SAKETIMES「『IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2026』SAKE部門のトロフィー受賞酒が発表されました!」(https://jp.sake-times.com/special/news/sake_iwc2026-trophy)確認日: 2026-09-17
- SAKETIMES「【速報】『IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2026』SAKE部門の最高賞『チャンピオン・サケ』が発表されました!」(https://jp.sake-times.com/special/news/sake_iwc2026-championsake)確認日: 2026-09-17
- SAKETIMES(英語版)「An Insider’s Guide to the IWC Sake Competition」(https://en.sake-times.com/deep-dive/an-insiders-guide-to-the-iwc-sake-competition)確認日: 2026-09-17
- IWC2026 SAKE部門審査会 ひろしま特設サイト(https://iwc2026.sake-hiroshima.com/blog/blog-213/)確認日: 2026-09-17
- 野村不動産ホールディングス株式会社 プレスリリース「世界最高峰の日本酒が一堂に集結『IWC2026受賞プレミアム日本酒試飲会』10月17日開催」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001012.000025694.html)確認日: 2026-09-17
- 日本酒情報局「IWC 2026の最高賞に『天美 純米吟醸 蛍天』」(https://news.bish300.com/2026/09/09/nk26090901/)確認日: 2026-09-17
- 独立行政法人酒類総合研究所「全国新酒鑑評会」公式ページ(https://www.nrib.go.jp/data/kan/)確認日: 2026-09-17


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