haccoba×Devanom|日本とタイの酒蔵が麹交換で醸す新プロジェクト

haccoba×Devanom|日本とタイの酒蔵が麹交換で醸す新プロジェクト 日本酒文化

最終更新: 2026-10-09

福島県のクラフトサケ醸造所haccobaが、タイの伝統的な米の発酵酒「サートー」を造る醸造所Devanom(デヴァノム)と手を組み、互いの麹を交換して酒を仕込む共同醸造プロジェクトを発表した。2026年7月にタイで、8月に福島で仕込みを行い、完成した酒は同年12月にタイのフェスティバルで披露される予定だ。清酒の免許制度に縛られないクラフトサケだからこそ実現した、国境を越えた麹のやりとりの中身を公式発表に基づいて整理する。

haccoba×Devanomのコラボレーションとは

2026 10 09 haccoba devanom craft sake collab h2 00

haccobaは福島県南相馬市小高区で2021年2月に創業したクラフトサケ醸造所で、米麹を使わない「花酛(はなもと)」という古い製法とクラフトビールのドライホップ技術を組み合わせた酒造りで知られる(詳しくはクラフトサケとは?清酒との違いと挑戦する醸造所6選で解説している)。

一方のDevanomは、タイ・ノンタブリ県で2014年に兄弟のNattachai「Ob」UngSriwong氏とTeerapat「Art」Ungsriwong氏が立ち上げた醸造所だ。タイの伝統的な米の発酵酒「サートー(sato)」やクラフトビール、ミードを手がけ、タイ国内で初めてホップ農場を自社運営している(英語版Wikipedia「Devanom」項目、2026-10-09確認)。

両社は麹を交換し合い、互いの醸造所で共同醸造を行うプロジェクトを2026年10月8日付のプレスリリースで発表した(情報元:haccoba公式プレスリリース、PR TIMES)。

きっかけ:ルークペンとカオマークに魅せられて

2026 10 09 haccoba devanom craft sake collab h2 01

発端は、haccoba代表の佐藤太亮氏がタイ出張でDevanomの醸造所を訪れたことだった。そこでタイの種麹「ルークペン」と、そこから作られる麹「カオマーク」に魅了されたという(PR TIMES、2026-10-09確認)。「土着の酒づくりを掘り下げて、現代的に表現する」という共通の理念で両社が意気投合し、今回のコラボレーションに至った。

橋渡し役を担ったのは、タイ・バンコクを拠点に日本酒をタイへ輸入・紹介する組織「Sakeseeker」だ。Sakeseekerは今回、両醸造所の仲介に加え、完成した酒の発表イベントの会場提供も担う。

共同醸造のスケジュールと工程

2026 10 09 haccoba devanom craft sake collab h2 02

時期 場所 工程
2026年7月 タイ・Devanom醸造所 日本から持参した白麹と現地のタイ米を使い、唐花草(カラハナソウ)ホップも加えてサートーを仕込み
2026年8月 福島・haccoba醸造所 Devanomの代表らが製造したタイ麹「カオマーク」と唐花草ホップ、日本米を合わせて仕込み

つまり、タイ側では日本の麹とタイ米で、日本側ではタイの麹と日本米で、それぞれ相手国の原料・技術を取り入れた酒を仕込むという、双方向の麹交換になっている点が特徴だ。唐花草はクラフトビールのドライホップ技術をルーツに持つhaccobaらしい副原料であり、Devanomが自社のホップ農場で育てている作物でもある。

なぜ注目すべきか:清酒にはできない挑戦

2026 10 09 haccoba devanom craft sake collab h2 03

清酒(日本酒)の製造免許は酒税法の需給調整要件により原則新規発行されていないため、海外の酒蔵と原料や麹そのものを交換して仕込むような実験的な取り組みは、清酒の枠内では現実的ではない(制度の詳細は酒造免許の取得方法|新規発行がほぼ不可能な理由と唯一の2つの道を参照)。

一方、haccobaのようにクラフトサケ(その他の醸造酒免許)という枠組みで酒を造る醸造所は、原料や製法の自由度が高く、こうした海外醸造所との共同醸造も実現しやすい。日本酒の海外展開はこれまで主に「完成した日本酒を輸出する」形が中心だったが(輸出額の推移は日本酒・酒蔵業界の統計まとめを参照)、今回のプロジェクトは完成品の輸出ではなく、麹という酒造りの根幹部分を相互に持ち込んで現地で仕込むという、これまでとは異なる海外展開の形を示している。

完成した酒はいつ飲める?

2026 10 09 haccoba devanom craft sake collab h2 04

完成した酒は、2026年12月にタイで開催されるフェスティバル「Wonderfruit」内のSakeseekerパビリオンで披露される予定だ(PR TIMES、2026-10-09確認)。日本国内での販売・提供の有無や時期については、2026年10月9日時点の発表では明らかにされていない。また、共同醸造の様子はフードカルチャー誌『RiCE』2026年11月号(2026年10月6日発売)にも掲載される予定だ。

まとめ:haccoba×Devanomコラボのポイント

  • haccoba(福島、2021年創業)とDevanom(タイ、2014年創業)が麹を交換して共同醸造するプロジェクトを発表
  • 2026年7月にタイ、8月に福島で仕込みを実施。双方向で相手国の麹・原料を取り入れる点が特徴
  • きっかけはhaccoba代表がタイで出会ったタイの種麹「ルークペン」と麹「カオマーク」
  • 完成した酒は2026年12月、タイのフェスティバル「Wonderfruit」で披露予定
  • 清酒の免許制度では難しい実験的な酒造りが、クラフトサケという枠組みで実現している実例。クラフトサケの制度的な背景はクラフトサケとは?で解説している

この記事は蔵人編集部が執筆しました。蔵人は醸造キャリアと日本酒文化に特化した専門メディアです。

詳しくは編集部についてをご覧ください。

参考情報



コメント

タイトルとURLをコピーしました