クラフトサケとは?清酒との違いと挑戦する醸造所6選

クラフトサケとは?清酒との違いと挑戦する醸造所6選 酒蔵・蔵元

最終更新: 2026-10-06

クラフトサケとは、米・米麹・水を発酵させる清酒(日本酒)の醸造技術をベースにしながら、清酒では法的に使えないホップや果物などの副原料を加えて造る新しいジャンルの酒のことだ。酒税法上は「清酒」ではなく「その他の醸造酒」に分類され、2021年前後から全国各地で新規参入する小規模醸造所が増えている。この記事では、清酒との制度上の違いと、実際にクラフトサケを手がける醸造所6社の実例を、公式情報・報道をもとに整理する。

クラフトサケとは?清酒との違いをわかりやすく解説

2026 10 06 craft sake toha h2 00

クラフトサケブリュワリー協会の定義によると、クラフトサケは「日本酒(清酒)の製造技術をベースとして、お米を原料としながら従来の『日本酒』では法的に採用できないプロセスを取り入れた、新しいジャンルのお酒」とされている(クラフトサケブリュワリー協会公式サイト)。

項目 清酒(日本酒) クラフトサケ
酒税法上の分類 清酒 その他の醸造酒
主原料 米・米麹・水(+ 清酒酵母) 米・米麹・水をベースに、ホップ・果物・薬草など副原料を使用可
製造免許 清酒製造免許 その他の醸造酒製造免許
最低製造数量基準 年間60kL 年間6kL
新規免許の取りやすさ 原則新規発行なし(需給調整要件) 新規取得が可能

ポイントは、香りや風味を”後から”付けるのではなく、副原料を米と一緒に発酵させて酒を造る点だ。清酒の醸造技術を土台にしながら、清酒の定義には収まらない自由な原料・製法を使えることが、クラフトサケという呼び方の核心になっている。

なぜクラフトサケが増えているのか?清酒の免許の壁との関係

2026 10 06 craft sake toha h2 01

クラフトサケが増えている最大の理由は、清酒製造免許の新規取得が事実上不可能だからだ。酒税法の需給調整要件により、国内向けの清酒製造免許は1953年以降原則として新規発行されていない。この制度の詳細は酒造免許の取得方法|新規発行がほぼ不可能な理由と唯一の2つの道で解説している。

一方、「その他の醸造酒製造免許」は最低製造数量基準が年間6kLと低く、需給調整要件の運用も清酒ほど厳格ではないため、新規参入が現実的な選択肢になる。つまりクラフトサケは、清酒を造りたくても免許の壁に阻まれる新規参入者にとって、酒造りの現場に立つための実質的な入口のひとつになっている。

地域別に見ると、新潟県(清酒出荷金額367億円、経済産業省 経済構造実態調査2022年)や秋田県(同151億円)など、もともと清酒の産地として出荷額が大きい地域で、クラフトサケの新しい醸造所が立ち上がっている例も多い。清酒の伝統的な産地が、同時に新しい酒造りの実験場にもなっている構図だ(都道府県別の詳しい数値は日本酒・酒蔵業界の統計まとめを参照)。

クラフトサケに挑戦する醸造所6選

2026 10 06 craft sake toha h2 02

実際にクラフトサケを手がける醸造所の実例を紹介する。多くがクラフトサケブリュワリー協会(2022年6月27日設立、会長:岡住修兵〈稲とアガベ〉、副会長:佐藤太亮〈haccoba〉)の加盟醸造所だ。

醸造所 所在地 創業 特徴
WAKAZE 東京発、フランス・パリと山形県鶴岡市に醸造拠点 2016年 「日本酒を世界酒に」を掲げ、海外にも醸造拠点を持つ先駆け的存在
haccoba -Craft Sake Brewery- 福島県南相馬市小高区(2023年に浪江町へ醸造所を追加) 2021年2月 東北の伝統的な「花酛(はなもと)」とクラフトビールのドライホップ技術を組み合わせる
稲とアガベ 秋田県男鹿市 2021年 米(Ine)とテキーラ原料のアガベにちなんだ名前。どぶろく・クラフトサケを軸に地域再生に取り組む
LAGOON BREWERY 新潟県新潟市 2021年11月 清酒の一大産地・新潟で新しい醸造スタイルに挑む
木花之醸造所(運営:ALL WRIGHT) 東京都台東区 2020年 クラフトサケブリュワリー協会設立時からの加盟醸造所
LIBROM Craft Sake Brewery 福岡県福岡市 2021年 九州発のクラフトサケ醸造所

haccobaの代表的な商品「花唄ホップス」は、米麹を使わずに花(麹菌以外の発酵スターター)で発酵させる「花酛」という古い製法と、ビール造りのドライホップ技術を組み合わせたものだ。清酒の枠では造れない、米の甘さとホップの爽やかな香りを両立させた一本として紹介されている(haccoba公式note)。

クラフトサケブリュワリー協会は設立時にWAKAZE・木花之醸造所・haccoba・LIBROM・稲とアガベ・LAGOON BREWERYの6醸造所で発足し、「全都道府県への醸造所設立」を目標に掲げている(食品新聞、2022年7月時点の報道)。その後も加盟醸造所は増えており、最新の加盟状況はクラフトサケブリュワリー協会の公式サイトで確認できる。

クラフトサケの魅力・楽しみ方

2026 10 06 craft sake toha h2 03

クラフトサケの魅力は、清酒の規格に縛られない味の自由度にある。ホップを使えばビールのような爽快さ、果物を使えばフルーティーな酸味など、清酒にはない個性を打ち出せる。また「その他の醸造酒」免許は最低製造数量基準が低いため、小規模でも個性を追求した少量生産が可能で、地域の特産品を副原料に使うなど、土地に根ざした酒造りをしやすい点も特徴だ。

クラフトサケの注意点

2026 10 06 craft sake toha h2 04

クラフトサケを探す・飲む際は、以下の点に注意したい。

  • 酒税法上は清酒ではなく「その他の醸造酒」なので、ラベルに「日本酒」「清酒」と表示することはできない
  • 小規模醸造所が多いため、流通量が少なく入手できる店舗・ECサイトが限られる
  • 副原料や製法が醸造所ごとに大きく異なるため、味の方向性は購入前に公式サイトやSNSで確認するのがおすすめ

クラフトサケに関するよくある質問

Q1. クラフトサケは「日本酒」と名乗れますか?

名乗れません。酒税法上の「清酒(日本酒)」はホップなどの副原料を使えないため、副原料を使うクラフトサケは制度上「その他の醸造酒」に分類されます。清酒の醸造技術をベースにしている点は共通していますが、法律上は別のカテゴリーです。

Q2. クラフトサケは今後増えていきますか?

増える可能性があります。清酒の国内向け新規免許は2025年5月以降、国税庁が一部解禁を検討する動きを見せていますが、2026年10月時点で条件は確定していません。一方、その他の醸造酒免許は新規取得が可能なため、当面はクラフトサケという形での新規参入が中心になると考えられます。詳しい制度の動向は[酒造免許の取得方法](https://kurabito.jp/sake/shuzou-menkyo-shutoku-guide/)で解説しています。

Q3. クラフトサケの醸造所で働くことはできますか?

一般的な蔵人としての求人と同様に、各醸造所が個別に採用を行っています。醸造の基礎的な仕事内容は清酒の蔵人と共通する部分が多いため、[蔵人の仕事内容](https://kurabito.jp/sake/kurabito-shigoto-naiyou/)や[酒造りの求人・募集情報まとめ](https://kurabito.jp/sake/sakatsukuri-kyujin-boshu/)も参考にしてほしい。

関連記事: 笑四季酒造とは?滋賀・甲賀の蔵が地場米で挑む海外輸出

まとめ:クラフトサケのポイント

  • クラフトサケは清酒の醸造技術をベースに、ホップや果物など清酒では使えない副原料を加えた「その他の醸造酒」
  • 清酒の新規免許が事実上取得できないため、新規参入者の実質的な入口になっている
  • haccoba、稲とアガベ、LAGOON BREWERYなど、2020年代に立ち上がった小規模醸造所が全国で挑戦を続けている
  • クラフトサケブリュワリー協会は2022年6月に6醸造所で発足し、全都道府県への展開を目標に加盟醸造所を増やしている
  • 清酒の免許制度や蔵人としてのキャリアに興味がある場合は、酒造免許の取得方法や蔵人の仕事内容もあわせて読んでほしい。

この記事は蔵人編集部が執筆しました。蔵人は醸造キャリアと日本酒文化に特化した専門メディアです。

詳しくは編集部についてをご覧ください。

参考情報




コメント

タイトルとURLをコピーしました