最終更新: 2026-10-22
福島県郡山市の笹の川酒造が、イタリアで開かれた日本酒品評会「ミラノ酒チャレンジ2026」で2銘柄が受賞した。地元メディアによれば、本醸造部門で「The driest in Fukushima ICHI(福島一辛口 いち)」がプラチナ賞(部門最高位)、大吟醸部門で「大吟醸 明和蔵」がダブル金賞を受賞し、「大吟醸 明和蔵」はデザイン部門でもグッドデザイン賞を受けた。笹の川酒造は清酒だけでなく、自社蒸溜所でウイスキーも手がける珍しい蔵元でもある。この記事では蔵の背景と受賞内容を一次情報で整理する。
笹の川酒造とは?基本情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 笹の川酒造株式会社 |
| 創業 | 1765年(明和2年) |
| 本社所在地 | 福島県郡山市笹川1丁目178 |
| 製造品目 | 清酒、焼酎、リキュール、ウイスキー原酒 |
| 併設蒸溜所 | 安積蒸溜所(あさかじょうりゅうじょ)2016年に本格稼働、ウイスキー「YAMAZAKURA」「安積 The First」を製造 |
笹の川酒造公式サイトによると、同社の創業は江戸中期の明和2年(1765年)にさかのぼる。今回受賞した大吟醸の銘柄名「明和蔵」も、この創業年の元号に由来する。戦後の1946年にウイスキー製造免許、1948年に焼酎・アルコール製造免許を取得するなど、清酒以外の酒類にも早くから事業を広げてきた蔵元だ。1998年には山桜酒造と合併しており、ウイスキーブランド「YAMAZAKURA」の名称はこの旧社名に由来する。
2016年には酒蔵の設備を転用する形で「安積蒸溜所」の原酒蒸留を本格的に再開した。既存の発酵タンクをウイスキー醸造のウォッシュバックに活用するなど、清酒蔵ならではの工夫を凝らしてジャパニーズウイスキーを造っているのが特徴で、2019年にはシングルモルト「安積 The First」を発売している。日本酒の蔵元がウイスキー製造にも参入する例は珍しく、同社の多角的な酒造りの象徴的な取り組みといえる。
ミラノ酒チャレンジ2026の受賞内容

「ミラノ酒チャレンジ」は、イタリアのソムリエや酒販店・飲食業界の専門家が審査員となり、日本酒をワイングラスで試飲して評価する国際コンクールで、2026年で6回目の開催となる。審査は2026年6月22〜23日にミラノで行われ、酒質そのものの評価に加えて、イタリア料理とのペアリングやボトル・ラベルのデザイン性も評価対象になっている。
| 受賞銘柄 | 部門 | 受賞内容 |
|---|---|---|
| The driest in Fukushima ICHI(福島一辛口 いち) | 本醸造部門 | プラチナ賞(部門最高位) |
| 大吟醸 明和蔵 | 大吟醸部門 | ダブル金賞 |
| 大吟醸 明和蔵 | デザイン部門 | グッドデザイン賞 |
地元メディアの報道では、本醸造部門のプラチナ賞を「最高賞」と表現しているが、これは本醸造部門における最高位という意味で、コンテスト全体の最高位である「マニフィカ賞」とは別の賞である点には注意したい。ミラノ酒チャレンジ2026では、国内の他の蔵元がマニフィカ賞を受賞しており、笹の川酒造の今回の受賞は、辛口の本醸造酒と大吟醸という異なるタイプの酒がそれぞれ高く評価された結果と位置づけられる。
銘柄名の「The driest in Fukushima ICHI」が示すとおり、同蔵は辛口路線を打ち出した商品開発も行っており、伝統的な大吟醸と、現代的な訴求を意識した辛口本醸造酒の両輪で評価を得た形だ。
福島県の清酒産業における位置づけ

経済産業省の経済構造実態調査(2022年、品目編)によると、福島県の清酒出荷金額は107億2,400万円で、全国でも上位クラスの産地にあたる。福島県は全国新酒鑑評会の金賞受賞数でも近年上位の常連であり、福島の日本酒ランキング10選で紹介している写楽や飛露喜、大七といった銘柄とともに、笹の川酒造も福島の酒どころとしての厚みを支える蔵元のひとつだ。
海外品評会での受賞が相次ぐ背景には、日本酒の輸出拡大という業界全体の動きもある。日本酒輸出統計2025で解説しているとおり、海外での評価の高まりは輸出額の増加とも連動しており、ミラノ酒チャレンジのような海外コンクールでの受賞は、蔵元にとって輸出先での認知拡大にもつながる機会になっている。
よくある質問
Q1. 「The driest in Fukushima ICHI」はどこで買えますか?
笹の川酒造の直営店や日本酒専門店、同社のオンラインショップなどでの取り扱いが想定される。受賞直後は品薄になりやすいため、購入を検討する場合は在庫状況を事前に確認するのがおすすめだ。
Q2. 笹の川酒造のウイスキーも購入できますか?
「安積蒸溜所」が手がける「YAMAZAKURA」や「安積 The First」はウイスキー専門店や同社の直営店などで販売されている。クラフトウイスキーブームもあり、入手性は銘柄や時期によって変動する。
関連記事: 林酒造場とは?富山最古の酒蔵、創業400年記念酒2種を限定発売
関連記事: 喜久水酒造とは?幻の酒米「たかね錦」を復活させた飯田唯一の蔵
関連記事: 今週の日本酒ニュースまとめ【10/19〜10/25】
まとめ:笹の川酒造のポイント
- 笹の川酒造は福島県郡山市で1765年(明和2年)から続く老舗蔵で、清酒に加えてウイスキーも手がける
- 「ミラノ酒チャレンジ2026」で本醸造部門「The driest in Fukushima ICHI」がプラチナ賞、大吟醸部門「大吟醸 明和蔵」がダブル金賞・グッドデザイン賞を受賞
- プラチナ賞は本醸造部門の最高位であり、コンテスト全体の最高位「マニフィカ賞」とは別の賞
- 1946年のウイスキー製造免許取得以来、酒蔵の設備を活用した「安積蒸溜所」で本格的なジャパニーズウイスキーも製造している
- 福島県は清酒出荷金額・金賞受賞数ともに全国上位の産地で、笹の川酒造はその一角を担う蔵元
福島の日本酒をもっと知りたい方は福島の日本酒ランキング10選も参考にしてほしい。酒蔵業界全体の統計データは日本酒・酒蔵業界の統計まとめでも定期更新している。
この記事は蔵人編集部が執筆しました。蔵人 -KURABITO- は日本酒と醸造所の専門メディアです。
詳しくは編集部についてをご覧ください。
参考情報
- ぐるっと郡山「ワインの本場をうならせた福島の日本酒!笹の川酒造が『ミラノ酒チャレンジ2026』で最高賞を受賞」(https://www.gurutto-koriyama.com/detail/227/news/chupress-457743.html)確認日: 2026-10-22
- Yahoo!ニュース「ミラノ酒チャレンジ2026 二本松・人気酒造、郡山・笹の川酒造の2銘柄がプラチナ賞 福島」(福島民友新聞、https://news.yahoo.co.jp/articles/df6f6f8b6deeb88b98d24ee89de47f5f2bcbf953)確認日: 2026-10-22
- 笹の川酒造公式サイト「会社概要」(https://www.sasanokawa.co.jp/contents/company.html)確認日: 2026-10-22
- 笹の川酒造公式サイト「受賞歴」(https://www.sasanokawa.co.jp/contents/award.html)確認日: 2026-10-22
- Dear Whisky「安積蒸溜所-笹の川酒造」(https://dearwhisky.com/distillery/asaka/)確認日: 2026-10-22
- Wikipedia「笹の川酒造」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%B9%E3%81%AE%E5%B7%9D%E9%85%92%E9%80%A0)確認日: 2026-10-22
- 経済産業省 経済構造実態調査(2022年、品目編)都道府県別の清酒出荷金額(e-Stat、https://www.e-stat.go.jp/)確認日: 2026-10-22


コメント