上川大雪酒造「北緯44度」とは?オホーツク45年ぶりの酒蔵が免許取得

上川大雪酒造「北緯44度」とは?オホーツク45年ぶりの酒蔵が免許取得 酒蔵・蔵元

最終更新: 2026-10-16

上川大雪酒造(北海道上川町)が網走市に新設した酒蔵「北緯44度」は、2026年10月15日付で清酒製造免許を取得した。オホーツク管内では約45年ぶりとなる日本酒製造の再開で、最初の一本は2026年12月中に届けられる予定だ。この記事では、「北緯44度」の基本情報と、上川大雪酒造がこれまで築いてきた酒造りの体制、そして「酒造免許の新規取得はほぼ不可能」とされる中でなぜ酒蔵を増やし続けられるのかを一次情報に基づいて整理する。

「北緯44度」基本情報

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項目 内容
蔵元 上川大雪酒造株式会社(本社:北海道上川町)
新蔵名 北緯44度(網走市天都山)
免許取得日 2026年10月15日(清酒製造免許)
地域の空白期間 オホーツク管内で約45年ぶりの日本酒製造
杜氏 安藤宏幸氏(前・碧雲蔵〈帯広市〉杜氏)
仕込み水 藻琴山を源とする水
使用米 北海道産酒造好適米「彗星」「吟風」「きたしずく」
出荷開始予定 2026年12月中(予定)

上川大雪酒造の公式発表によると、新蔵の名称「北緯44度」は網走の緯度にちなんだもので、同社にとって4カ所目の酒蔵となる。網走刑務所との連携事業により、受刑者が職人の指導のもと作り上げた伝統的な木桶も新蔵に設置されており、再犯防止・地域再生の取り組みとしても注目されている。

上川大雪酒造とは?北海道で蔵を増やし続ける「地域振興酒造り」モデル

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上川大雪酒造は2017年、北海道上川町に設立された酒蔵だ。酒造免許は原則として国内向けに新規発行されないため、新規参入は既存酒蔵の免許移転・事業承継がほぼ唯一の現実的な道となる。同社も設立時、休業していた他地域の蔵の免許を移転する形で第一号の蔵「緑丘蔵」を立ち上げた経緯があり、塚原社長自身も「酒類製造免許を新規に取得するのは難しかったので、異例だが免許の遠距離移転ができないか役所と何度も交渉した」と振り返っている(日経ビジネス報道)。

この体制を土台に、上川町「緑丘蔵」、帯広市「碧雲蔵」、函館市「五稜乃蔵」と道内各地に蔵を広げ、「北緯44度」で4カ所目となった。各蔵を「地域振興会社」と位置づけ、地元の米・水・人材を使って酒を造ることで、地域活性化と酒蔵経営を両立させる点が特色だ。報道各社は「北緯44度」の免許取得方法(移転か新規枠かの具体的な区分)までは明らかにしていないが、同社がこれまで一貫して「他地域の免許を引き継いで蔵を増やす」という手法で拡大してきた実績は、酒造免許取得方法ガイドで解説した「既存酒蔵の買収・事業承継」ルートの具体的な実例といえる。

杜氏・安藤宏幸氏のキャリア

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「北緯44度」の杜氏には、同社の別の蔵「碧雲蔵」(帯広市)で杜氏を務めていた安藤宏幸氏が就任した。グループ内の蔵を渡り歩いて経験を積む杜氏のキャリアパスは、一般的な蔵元で住み込みから杜氏を目指すルートとは異なる一例だ。醸造キャリアの入口や杜氏までの道のりについては杜氏になるには、蔵人としての日々の仕事内容については蔵人の仕事内容でそれぞれ解説している。

北海道の清酒業界の規模

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経済産業省の経済構造実態調査(2022年、品目編)によると、北海道の清酒製造業の事業所数は11事業所で、公開値のある47都道府県中38位。出荷金額は32億6,400万円で、公開値のある44都道府県中25位にとどまる。全国的に見れば中規模の産地だが、その11事業所はこれまで道内の限られた地域に集中しており、オホーツク管内には45年近く酒蔵が存在しなかった。「北緯44度」の稼働は、既存の産地に蔵を1つ増やすというより、空白地域に新たな産地を生み出す動きといえる。酒蔵業界全体の都道府県別データは日本酒・酒蔵業界の統計まとめで確認できる。

よくある質問

Q1. 「北緯44度」の日本酒はいつから買えますか?

上川大雪酒造の発表によると、最初の一本は2026年12月中に届けられる予定だ。具体的な発売日・取扱店舗は同社の公式発表を確認するのが確実。

Q2. 上川大雪酒造の他の蔵はどこにありますか?

上川町の「緑丘蔵」、帯広市の「碧雲蔵」、函館市の「五稜乃蔵」の3蔵がすでに稼働しており、「北緯44度」が4カ所目となる。

関連記事: 天郷醸造所とは?後継者不在の蔵を継承し清酒免許を取得した福岡の新蔵

関連記事: 酒六酒造とは?エンジニアから婿入りで蔵を継いだ6代目・武知直之氏「京ひな」の挑戦

まとめ:上川大雪酒造「北緯44度」のポイント

  • 上川大雪酒造が網走市に新設した「北緯44度」は2026年10月15日付で清酒製造免許を取得し、オホーツク管内で約45年ぶりの日本酒製造再開となる
  • 杜氏は同社「碧雲蔵」の前杜氏・安藤宏幸氏。藻琴山の水と道産米「彗星」「吟風」「きたしずく」で仕込む
  • 最初の一本は2026年12月中に出荷予定
  • 上川大雪酒造は酒造免許が新規発行されにくい制度の中、既存蔵の免許移転・事業承継という現実的なルートで道内に蔵を増やしてきた実例
  • 北海道の清酒出荷額は全国25位(44都道府県中)の中規模産地だが、オホーツク管内は長く空白地域だった

上川大雪酒造の酒造りの土台となっている酒造免許の仕組みについては酒造免許取得方法ガイド、杜氏を目指すキャリアパスについては杜氏になるにはも参考にしてほしい。

この記事は蔵人編集部が執筆しました。蔵人 -KURABITO- は日本酒と醸造所の専門メディアです。

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参考情報

  • gourmetpress「網走市の新酒蔵「北緯44度」清酒製造免許を取得 オホーツク管内で約半世紀ぶりとなる日本酒製造へ」(https://gourmetpress.net/1488872/)確認日: 2026-10-16
  • 上川大雪酒造 公式サイト「オホーツク網走 新蔵の名称決定のお知らせ」(https://kamikawa-taisetsu.co.jp/2026-07-04/)確認日: 2026-10-16
  • 上川大雪酒造 公式note「【随時更新】上川大雪酒造・オホーツク網走新蔵「北緯44度」の建設レポート」(https://note.com/kamikawataisetsu/n/na96568005802)確認日: 2026-10-16
  • 共同通信ovo「日本最北、北緯44度に酒蔵完成へ 上川大雪酒造と網走市が連携 刑務所の木桶から始まった地域再生」(https://ovo.kyodo.co.jp/news/biz/a-2093458)確認日: 2026-10-16
  • 日経ビジネス電子版「上川大雪酒造塚原社長『知られてこその地方創生、北海道で4つの酒造に挑む』」(https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00113/00381/)確認日: 2026-10-16
  • 経済産業省 経済構造実態調査(2022年、品目編)都道府県別の清酒出荷金額・製造事業所数(e-Stat、https://www.e-stat.go.jp/)確認日: 2026-10-16



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