今週(10/12〜10/18)は、能登杜氏・農口尚彦さんの人間国宝認定への答申、オホーツクで約45年ぶりとなる酒蔵「北緯44度」の免許取得、長岡農業高校生が育てた酒米のウィーン受賞など、「人」と「地域」に光が当たる話題が相次いだ。各地では秋の酒蔵ツアー・イベントも本格化し、新酒シーズンの到来を告げる便りも届いている。
今週の主要ニュース一覧
| 日付 | カテゴリ | 概要 |
|---|---|---|
| 10/11 | 海外展開・輸出 | VIENNA SAKE AWARD 2026、新潟・長谷川酒造「〇結」と福島・大木代吉本店「楽器正宗」がダブル受賞 |
| 10/12 | 酒蔵・蔵元 | 老舗酒蔵・日新酒類、動画とデータで技術を継承する令和型の職人育成に挑戦 |
| 10/13-10/15 | 酒蔵・蔵元 | 滋賀・京都・大阪・鹿島などで秋の酒蔵ツアー・試飲イベントが相次ぐ |
| 10/14-10/15 | 受賞・コンテスト | 山梨銘醸「七賢」、Kura Master2026でプレジデント賞(史上初のスパークリング受賞) |
| 10/14 | 新銘柄・限定酒 | 日本盛、全国新酒鑑評会金賞受賞酒の大吟醸原酒を数量限定発売 |
| 10/15 | 酒蔵・蔵元 | 上川大雪酒造、網走「北緯44度」が清酒製造免許を取得(オホーツク約45年ぶり) |
| 10/15 | 新銘柄・限定酒 | 雪椿酒造、入社3年目の女性社員が醸した新酒「純米大吟醸」を1,980円・1,300本限定発売 |
| 10/15 | 受賞・コンテスト | 月桂冠「純米パック」、菊水酒造「KIKUSUI蔵GARDEN」が2026年度グッドデザイン賞 |
| 10/15-10/16 | 新銘柄・限定酒 | 千葉発「酒蔵がつくったバナナスムージー」が都内初進出 |
| 10/16 | 酒蔵・蔵元 | 石川・吉田酒造店(手取川)、水田でのソーラーシェアリングを実践 |
| 10/16 | 酒蔵・蔵元 | 農口尚彦さん(杜氏)、文化審議会が人間国宝への認定を答申 |
| 10/16 | 酒蔵・蔵元 | haccoba(福島)、桃とスパイスの酒「#ももスパ」を発売 |
| 10/16 | 酒蔵・蔵元 | 新橋「にほんしゅ ひと巡り2026」(12/12-13、18酒蔵参加)、秋田「酒蔵列車」(11月運行開始)など発表 |
| 10/16 | 酒蔵・蔵元 | 山口・周南「はつもみぢ」杜氏、県秋季きき酒競技会で優勝 |
| 10/11 | 酒蔵・蔵元 | 奈良の蔵元、駅前立ち飲み店で日本酒ファンとの接点を増やす動き |
酒蔵・蔵元
農口尚彦さん、杜氏として初の人間国宝に(答申)
2026年10月16日、文化審議会は石川県能登町の杜氏・農口尚彦さん(93歳)を「吟醸造り」の保持者として重要無形文化財に認定するよう文部科学大臣に答申した。酒造り職人としては初めて、重要無形文化財の「生活文化」分野としても初めての認定となる見通し(情報元:時事通信、北國新聞)。答申の詳しい内容や農口さんの70年を超える経歴は農口尚彦さんが人間国宝に認定へ|杜氏として初、吟醸造りの功績で解説している。
上川大雪酒造、網走「北緯44度」が清酒製造免許を取得
北海道・上川大雪酒造が網走市に新設した酒蔵「北緯44度」が、2026年10月15日付で清酒製造免許を取得した。オホーツク管内では約45年ぶりの日本酒製造再開となる(情報元:北海道新聞デジタル、日本経済新聞)。網走刑務所で製作された木桶を使った仕込みも予定されており、12月ごろの出荷開始を目指している。背景は上川大雪酒造「北緯44度」とは?オホーツク45年ぶりの酒蔵が免許取得で詳しく解説している。
石川・吉田酒造店、水田でソーラーシェアリングを実践
石川県白山市の老舗酒蔵「吉田酒造店」(銘柄「手取川」)が、自社の水田に垂直型・両面受光型の太陽光パネルを設置し、酒米栽培と発電を両立するソーラーシェアリングに取り組んでいる。冷蔵施設の太陽光発電とあわせて年間電力使用量の15%をまかない、不足分も自然エネルギーで購入しているという(情報元:オルタナ)。
日新酒類、動画とデータで技術を継承する令和型の職人育成
江戸時代後期創業の日新酒類が、従来の「習うより慣れろ」型の技術伝承から、動画やデータで記録・共有する育成方法へ切り替えている。特定の職人に技術が集中しないよう分散して共有する体制づくりが狙いだという(情報元:TOKYO FM+)。
奈良の蔵元、駅前の立ち飲み店で日本酒ファンを増やす
奈良県では、蔵元自らが駅前に立ち飲み店を開き、客との接点を増やす動きが広がっている。香芝市の近鉄五位堂駅前では澤田酒造が「通し営業」の立ち飲み店を営み、月間約1,000人が利用。大倉本家も2022年から「大倉本家駅前のみ店」を運営し、酒類消費が減る時代にメーカー自ら売り場をつくる取り組みを進めている(情報元:朝日新聞/Yahoo!ニュース)。
福島・本宮市の老舗酒蔵、2019年台風からの復興を支えた地域の絆
福島県本宮市唯一の酒蔵が、2019年の令和元年東日本台風で床上60cmの浸水被害を受けながらも、地域内外からの支援で仕込みを再開した経緯を振り返る特集が報じられた。日頃からの地域との付き合いが、災害時の支援につながった事例として紹介されている(情報元:福島テレビ)。
秋の酒蔵イベントが各地で開催
秋の酒蔵ツーリズムが各地で本格化している。滋賀では酒蔵巡りバスツアー第2弾、京都・松尾大社では地元酒蔵の飲み比べイベント「酒ハイ」、佐賀・鹿島の肥前浜宿では「第16回秋の蔵々まつり」(10月18日)、大阪・なんばでは関西77銘柄が集まる試飲イベントが開催された。新潟・糸魚川では全5酒蔵が集結する「いといがわヒスイSAKEまつり2026」(11月7日)も予告されている(情報元:各地地方紙・Yahoo!ニュース)。
東京・新橋では18酒蔵が参加する「にほんしゅ ひと巡り ―新橋 2026―」が12月12日・13日に開催予定(情報元:SAKETIMES)。秋田内陸縦貫鉄道の「秋田の酒蔵列車」も11月から今季の運行を開始する(情報元:河北新報オンライン)。秋田の蔵元ガイドはこちら。
山口県周南市の酒蔵「はつもみぢ」に所属する原田さんが、山口県秋季きき酒競技会で優勝した(情報元:山口新聞 電子版)。
新銘柄・限定酒
日本盛、金賞受賞酒の大吟醸原酒を数量限定発売
日本盛が、令和7酒造年度全国新酒鑑評会で金賞を受賞した酒を使った「金賞受賞酒 大吟醸原酒720ml」を、10月1日より数量限定で発売した(情報元:SAKETIMES)。
雪椿酒造、入社3年目の女性社員が醸した新酒を限定発売
新潟・雪椿酒造が、入社3年目の女性社員が初めて挑戦した純米大吟醸の新酒を、1,980円・1,300本限定で解禁した。新米・新酒・新品種を掛け合わせた「冬の最初の一杯」として展開している(情報元:PR TIMES)。
haccoba、桃とスパイスの酒「#ももスパ」を発売
福島のクラフトサケ醸造所haccobaが、福島の桃とスパイスを使った新作「#ももスパ」を発売した。福島最大級の音楽フェスにあわせた展開だという(情報元:ニコニコニュース)。haccobaの取り組みはhaccoba×Devanomのコラボ記事でも紹介している。
千葉発「酒蔵がつくったバナナスムージー」が都内初進出
千葉県の酒蔵がつくる「バナナスムージー」が、池袋・サンシャインシティに都内で初めて出店した(情報元:池袋 サンシャインシティ)。
受賞・コンテスト
山梨銘醸「七賢」、Kura Master2026で史上初の快挙
山梨銘醸の「七賢 星ノ輝スパークリング」が、フランス・パリの日本酒コンクール「Kura Master2026」でプレジデント賞を受賞した。瓶内二次発酵で仕込むスパークリング日本酒がプレジデント賞を受賞するのは同コンクール史上初(情報元:日テレNEWS NNN、時事ドットコム)。蔵の歴史と受賞の経緯は七賢とは?IWC・Kura Masterで2年連続世界一になった山梨の蔵元を解説にまとめている。
月桂冠「純米パック」、菊水酒造「KIKUSUI蔵GARDEN」がグッドデザイン賞
月桂冠の「純米パック」が、「磨きすぎない、うまさ」を表現したデザインを評価され2026年度グッドデザイン賞を受賞した(情報元:月桂冠ホームページ)。新潟・菊水酒造の体験型施設「KIKUSUI蔵GARDEN」も同賞を受賞している(情報元:新潟日報)。
海外展開・輸出
VIENNA SAKE AWARD 2026、新潟と福島の2銘柄がダブル受賞
2026年10月11日、オーストリア・ウィーンで初開催された「VIENNA SAKE AWARD 2026」(Craft Sake & Food Fair Vienna 2026内)で、日本の日本酒2銘柄が受賞した。新潟・長岡農業高校の生徒が酒米「五百万石」を育てて醸した長谷川酒造の「〇結(えんむすび)」が審査員賞を、福島・大木代吉本店の「楽器正宗」(低グルテリン米「春陽」使用)が一般投票賞をそれぞれ受賞している(情報元:にいがた経済新聞、PR TIMES)。〇結と長谷川酒造については長谷川酒造とは?農業高校生が育てた酒米「〇結」がウィーンで受賞した新潟の蔵で詳しく解説している。
まとめ
今週(10/12〜10/18)は、農口尚彦さんの人間国宝認定、上川大雪酒造「北緯44度」の免許取得など、酒造りの担い手と地域に関わる大きな話題が相次いだ一週間だった。ウィーンでの受賞に見るように、海外の品評会でも日本酒の評価が広がっている。来週は東京・虎ノ門ヒルズの「awa酒week」(10/21〜28開催)をはじめ、秋の酒蔵イベントがさらに増える時期。上川大雪酒造「北緯44度」の12月出荷や、農口さんの正式な認定告示の行方も引き続き追いたい。
参考記事
- 農口尚彦さん、人間国宝に=料理人・華道家も初認定―文化審 – 時事通信ニュース
- 人間国宝に農口尚彦さん 能登町、93歳杜氏「生活文化」で初 – 北國新聞
- 北海道の上川大雪、網走の新酒蔵で清酒製造免許 12月にも出荷 – 日本経済新聞
- 網走市の新酒蔵「北緯44度」清酒製造免許を取得 – アットプレス
- 石川県の老舗酒蔵が水田でソーラーシェアリングを手がける理由とは – オルタナ
- 「習うより慣れろ」はもう古い? 老舗酒蔵が挑む「動画とデータで技術を共有する」令和の職人育成 – TOKYO FM+
- 奈良の蔵元、駅前で立ち飲み続々 自ら売ってコミュニケーション – 朝日新聞/Yahoo!ニュース
- 日頃の付き合いが防災につながる 東日本台風で床上60cm浸水 本宮市唯一の酒蔵を支えた”地域の絆” – 福島テレビ
- 10月17日に徳地で「酒蔵文楽」 国登録有形文化財の酒蔵で素浄瑠璃「寺子屋の段」 – NEWSjp
- 鹿島市・肥前浜宿酒蔵通りで「第16回秋の蔵々まつり」 – 佐賀新聞
- 大阪・なんばで、関西の酒蔵が集まる『日本酒試飲イベント』が開催 – 神戸ジャーナル
- 糸魚川の全5酒蔵が集結!蔵元と乾杯する地酒フェス「いといがわヒスイSAKEまつり2026」 – PR TIMES
- 全国の酒蔵など18団体が集結!「にほんしゅ ひと巡り ―新橋 2026―」 – SAKETIMES
- 「秋田の酒蔵列車」、今年も11月から運行 – 河北新報オンライン
- 周南市の酒蔵「はつもみぢ」の原田さん優勝 – 山口新聞 電子版
- 令和7酒造年度全国新酒鑑評会で金賞受賞!「日本盛 金賞受賞酒 大吟醸原酒720ml」 – SAKETIMES
- 【新米×新酒×新品種】新潟蔵元・雪椿酒造が贈る冬の最初の一杯 – PR TIMES
- 月桂冠「純米パック」が2026年度グッドデザイン賞を受賞 – 月桂冠 ホームページ
- 菊水酒造の体験型施設『KIKUSUI蔵GARDEN』が2026年度グッドデザイン賞を受賞 – 新潟日報
- 農業高校生が育てた酒米が世界へ。新潟ゆかりの日本酒2銘柄、ウィーンでダブル受賞 – PR TIMES
- 長岡農高生の酒米が世界で評価、「〇結(えんむすび)」がウィーンで審査員賞を受賞 – にいがた経済新聞
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